'07年に入り製菓学校での一年が終わると、実体験で得た情報を元に生産設備の具体的な検討が始まった。その間も上杉は自宅での製菓実習や味覚の微調整を怠らず、自分自身の、そしてサツラクの自信を深めていった。 「これは凄い。間違いなく北海道発の新しい食材になり得る。」 サツラク内部でそんな声が明確に聞こえ始めたのは ’07年の暮れ。そして、その流れはマスコミ各社へのプレスリリースへとつながっていく。 |
'08年8月。生産設備が完成し、上杉はプラントの中にいた。 「では動かしますよ」。 濃縮機の中を初めてヨーグルトが通った瞬間を未だに忘れることができないと彼は言う。その場を見守っていた課長の堀も、無邪気にはしゃぐ上杉を親のような気持ちで見つめていた。 設備稼働実験の成功を受け、サツラク内部ではネーミングに関する会議が招集された。様々な意見が出されたが、北海道産の生乳とグラニュー糖だけで作られたヨーグルトを原材料とし、添加物を一切含まない新しい乳製品であることから「ピュアブラン」に決定した。 ※英語のPure(純粋の)とフランス語のBlanc(白)から生み出した商品名です。 |
現在、ピュアブランは、そのものを直接エンドユーザーが食べることがない。あくまでも業務用食材として洋菓子店を中心に使用されているものだが、近い将来「ピュアブラン使用」というだけで話題になるかもしれない。 「サツラクさん、面白いものを作ったね。」「この不況時代に明るいニュースだね。」 色々な人が温かい言葉をかけてくれる。しかし、ピュアブランはスタートしたばかり。新開発の商材を生み出すという意味で上杉の仕事は終わったが、ピュアブランを如何に市場へ流通させるかという課題は、サツラク営業担当の手に委ねられた。その動向を見守りつつ、上杉には「ピュアブランを超える商品を新たに作り出す」という新たな仕事が待っている。 |
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